島田研究室は、情報理工学部/情報理工学研究科の実験物理工学系の研究室です。研究対象はメゾスコピック系と呼ばれる、ミクロとマクロの中間領域の固体中の電子物性です。
(それで、研究室の別名が、「メゾスコピック系物性研究室」と言います。)固体と言っても、金属・半導体・超伝導体・磁性体といろいろありますが、これら全てが対象です。
メゾスコピック系の研究にどんな意義があるのか?このサイズだと電子系の量子効果が顕著になります。
たとえば、狭い領域に電子が閉じこめられると、電子のエネルギー準位は、原子などと同じように離散的
になります。そして、メゾスコピック・デバイスでは、そのような電子系にマクロな電極を付けて計測ができる
というわけです。
また、メゾスコピック系は、ミクロ世界を司る量子力学とマクロ世界と司る古典力学とのつながりを
調べる舞台にもなっているのです。メゾスコピック系はスケールでは、ナノ・デバイスと言えます。現在私たちの研究室で作る素子の
典型的な最小サイズは100nmです。
下の写真は、これまで研究を行ってきた素子の一例です。_ _
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直流電流転写素子(量子電流ミラー素子) 量子電流ミラー効果を用いた微小電流2倍器 走査顕微鏡用のファイバープローブ(試作品)
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単一電子トランジスタ電位計を配された強磁性細線 金電極のナノ・ギャップ 微小電流10倍器(第一号)
環境インピーダンスを制御した1次元接合列 改良型の微小電流10倍器 興味深い性質を示すAlVAl超伝導単一電子トランジスタ
島田研究室の研究活動
新奇な現象を期待出来るメゾスコピック・デバイスを作製し、希釈冷凍機を使った極低温における計測
によって、デバイスの特性を調べます。そこには、デバイス内部で電子系が示している量子効果が反映
され、時として、思いも寄らない結果が現れます。そこから、現象の本質を抽出し、電子物性としての特徴を
明らかにします。そして、そこに、有意性があれば、それを積極的に使った新しいデバイスを作製してゆく。
そんな研究活動を行っています。
素子作製は、417実験室と隣の東8号館SVBL(サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリ)の設備を使って行い、
極低温計測は、417あるいは106/107実験室の希釈冷凍機(417:~80mK, 106/107:~40mK)を使って
行います。現状では直流から3GHzというマイクロ波領域までの測定ができます。
発足以来、水柿研究室と共同研究を行っています。
微細素子の作製についての共同作業や、研究室合同セミナー、また随時情報交換を行っています。
水柿先生とは、Sweden Goeteborg にある Chalmers大学のPer Delsing教授(元ノーベル物理学賞選考委員)の
研究室で同じ頃在外研究をしたのがご縁で、現在の共同研究に至っています。
2012年2月には、Chalmers大学のTord Claeson教授(前ノーベル物理学賞選考委員)
の訪問を受けました。
2015年度から、セミナーは小久保研とも合同で行うことになりました。
基盤理工学専攻内の超伝導デバイスグループということになるでしょう。
海外共同研究
2015年から台湾中興大学の郭華丞(Watson Kuo)教授グループと微小Josephson接合列に関して共同
研究を行うことになりました。両大学間の大学院生の行き来も始まっています。
2015年度は夏に台湾の大学院生が2人滞在し、島田研で実験を行いました。
秋には、島田研の大学院生が中興大学に滞在し、実験技術を学んできました。
2016年度後期は、Mexico Polytechnique Institute からの交換留学生が滞在しました。
2018年度は春に台湾の大学院生が1名滞在し、島田研で実験を行う予定です。
2016年度の勉強会
統計力学勉強会 (B4+M1、春休み)
超伝導勉強会 (B4、水柿研、小久保研と合同:守屋先生)
固体量子工学 (B4、島田担当)
超伝導のBCS理論 (M1、M2担当)
シミュレーション勉強会(有志)
2017年度の勉強会
量子力学勉強会(「ハイゼンベルク形式による量子力学」)(B4+M1、春休み)
超伝導勉強会 (B4、水柿研、小久保研と合同:守屋先生)
固体量子工学 (B4、島田担当)
"Introduction to Quantum Electromagnetic Circuits"
"Applied Superconductivity"
2018年度の勉強会
統計力学勉強会 (B4+M1、春休み)
超伝導勉強会 (B4、水柿研、小久保研と合同:守屋先生)
固体量子工学 (B4、島田担当)
超伝導のBCS理論 (M1、M2担当)